MONEYKitトップ > from MONEYKit > スペシャルインタビュー > メディアに訊く ダイヤモンドZAi編集長 浜辺氏篇
グーグル(Google)の登場が世界を変えた
浜辺さんにとって仕事の上で欠かせない、「七つ道具」とは何ですか。
え!そういうのがですねえ…(笑)。僕、田舎から上京して19歳の時にマガジンハウス(*9)の編集部でバイトをし始めたんですよ。憧れのマガジンハウスで働いて、いつか大人になったらかっこいいブランドの時計やカバンをさりげなく使える男に…なんて思っていましたが、いつまでたってもなりゃしませんね(笑)。
でも、今の時代にこれがあればこそと思うのは、グーグルですよ。グーグルが世界を変えたし、今後もっと変えると思います。
少し昔の話になりますが、使っていたケータイが壊れて機種交換をしたら、たまたまカメラ付きだったんです。別になんとも思わなかったんですが、その後で大阪の鶴橋にある韓国街に行ったんです。そうしたら、ものすごい撮りたいし送りたいわけですね。これはブレイクするなと。これは株を買わなくてはいかんのではないかと思ったんです。家に帰ってグーグルで検索すると、ケータイ用カメラのシャッターの特許をもっている企業やら、二つ折りの蝶番を作っている企業やらが、一瞬にとはいいませんが、苦もなく出てきました。部品の設計図まで見ることができる。
それである小さな電子部品メーカの株を買ったんですが、いま4倍以上の株価になっています。昔だったら、そういった先端技術の情報や、小さな企業の情報なんてファンドマネジャーでもなくては調べられないし、工場まで行って「設計図見せてください」なんて行ったって、見せてもらえるわけないですよね。それが簡単に、かつ万人に開かれたツールでアクセスできるというのが革命的なんです。
- (*9) マガジンハウス社…『アンアン』『ブルータス』『ハナコ』などの雑誌や『世界がもし100人の村だったら』などの書籍の出版で知られる出版社。
ウェブサイト:MAGAZINEHOUSE Magnetcafe(http://www.magazine.co.jp/)
「感情」をコントロールできないと市場では勝てない
投資について、何か座右の銘があればお聞かせできますか。
一言でズバリとはいきませんが、いいたいことはあります。それは、マーケットでは、人間の自然な感情のまま行動してはいけないということです。普通はモノを買う時には、「かわいい」とか「好き」と思ったら買いますね。マーケットではそれをやると、必ずといっていいほどやられます。いいなと思ったら買わない方がいいし、買いたくないと思ったら買ったほうがいいかもしれません。
つまりそれって、自分もつまらない人間のひとりだということをいったん認めないといけないということなんです。本当に自分がユニークで、他人には見えていないものが見えているというのならカンタンに市場で勝てるでしょう。でも、見えていないんですよ誰だって。ユニークなつもりで世間とまったく同じ凡庸な見方をしているんです。人一倍愚かなのに自分の愚かさに気がついてない人間、どこかの国の大統領がそうかも知れませんが、これが一番危険だし、最後には必ず大きな失敗をやらかします。
株を買って利益が出ている局面では誰もが「自分はなんて上手な投資家なんだ!」と舞い上がる。冷静になってよく考えれば90%ぐらい偶然なんだけど、株価が上がっている時は全部自分の力なんだと思うものです。そこで「よし!もっといける!」とポジションを膨らませる。そのとたん、市場の動きは反転し、含み益が大幅な含み損に!…とてもありがちな話ですよね。
自分も愚かしい人間のひとりなんだということを自覚して、自分の感情をコントロールする。そして、じっくり考えて、考えに考え抜いて、自分の表面的な感情と反対の行動を選択する。これができれば一人前の投資家です。
口で言うほどカンタンなことではありませんし、そんな不自然なことをするのは嫌だという人もいるかもしれませんが、僕はそこを含めてマーケットって面白いなと思うんですよ。
マーケットは欲望と愚かしさと矛盾を抱え続ける人間の社会の縮図です。僕は聖人君主じゃないので、そういった不完全でおっちょこちょいでどうしようもなく愚かしいマーケットが、実は割りと好きなんでしょうね。僕自身が「感情に流される愚かな人間」であるということも決して嫌いじゃないんです。
ただ、投資をすればそれが自覚できるようになるし、コントロールして勝つ方法も見えてくる。ライバルと違う行動をとらないと勝てない点や儲かってる絶頂で大間違いをやらかしがちという点では、ビジネスの世界もまったく共通してますから、ビジネスマンとして頑張りたい人は絶対投資をしたほうがいい。サラリーマンならみんな「うちの経営者も株式投資を勉強してほしいなあ」というようなことが言いたくなりますよ(笑)。
最後に、ソニーバンクのサービスへの期待やご要望があればお聞かせください。
ひとつ夢みたいな話をさせてもらうと、ひとりの個人投資家がさまざまなポジションを持っていますよね。でもいまはそれがワンストップで管理できないんです。ここでは中国株、あちらでは米国株、投信はまた別の銀行という風になっていて、とても面倒。そこが将来、どこの金融機関でもいいんですが、たとえばソニー銀行さんで、為替市場の動きを運用に取り入れながらトータルに見ることができれば、ネットサービスの強みがもっと高まると思うんです。
それともう一つ、インターネットが個人投資を変えていくとはいっても、みんながみんなトレードができる時間的余裕があるわけではありませんし、じっくり資産を作っていくというのはトレードでは無理です。つまり本当は投資信託を買うべき人たちが、今は買っていないという状況があるんだと思います。アメリカ人だって、みんなが株そのものを買っているわけではなくて、中心はファンドなんですよ。日本でも10年後には今とかなり違う景色になっていると思いますが、投資マインドはあるけれども手のかかる株をやる時間がないという、ごく普通の個人に対して、より魅力的な商品を提供してくれることを期待したいですね。
浜辺雅士(はまべ まさし)
明治大学文学部卒。在学中の19歳の頃、まだ石川次郎氏、新谷雅弘氏などが現場で活躍中だったマガジンハウスの当時もっとも地味な雑誌だった『ダ・カーポ』編集部で編集補助のバイトを始める。『ダ・カーポ』『平凡パンチ』『ポパイ』のライター見習いと学生バンドのバイト、ジャズ喫茶店員を掛け持ち、かなり多忙な学生時代を送る。婦人誌の出版社に就職。『あたし天使あなた悪魔』『ママはぽよぽよザウルスがお好き』『パパのココロ』など、育児漫画シリーズの企画・編集で「育児漫画ブームの仕掛け人」とされる。94年ダイヤモンド社に転職、『会社図鑑!』シリーズなどの単行本を編集しながら「新雑誌プロジェクト」で女性誌立ち上げ(創刊直前に頓挫)や男性誌のプランニングに携わる。2000年3月『ダイヤモンド・ザイ』創刊。いきなりナンバー1マネー誌に。02年4月より現職。
- 趣味
- 小型株投資、料理(プロ級との噂も食べた部員は皆無、実力は謎のベールに包まれる)、アオリイカ釣り&ジャズ演奏。ちなみに卒論はボリス・ヴィアン。楽譜をたくさん使用したグラフィックな論文で教官を煙に巻いて仏語の大幅な教養不足を誤魔化し「優」を獲得。
- もしこの職についていなかったら?
- 鮨職人になりたい。コハダにオボロをかませてキュキュッとにぎって…。
- 好きな投資格言
- 『私たちは皆“株の愚か者”なのだ!』ZAi編集部員“男前”ハラダがふともらしたヒトコト

- メディアに訊く ダイヤモンドZAi編集長 浜辺氏篇(1)
- メディアに訊く ダイヤモンドZAi編集長 浜辺氏篇(2)
- メディアに訊く ダイヤモンドZAi編集長 浜辺氏篇(3)
- メディアに訊く ダイヤモンドZAi編集長 浜辺氏篇(4)

