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スペシャルインタビュー
人生通帳スタート記念連続インタビュー第2弾 資産運用の達人 野尻美江子氏に聞く 資産運用の達人からみた「人生通帳」

第2回 リスク商品の必要性に気づいてほしい

家計に未知の領域があると遠回りになる

――
野尻さんは、FPとして、ふだんはどのような相談を受けているのですか?

現在は、会社として個人相談をお受けする機会はないのですが、企業の相談会や雑誌企画などを通じて、資産運用や保険、住宅ローンに関することなどさまざまな相談を受けています。相談内容は多岐に渡りますが、多くの場合、共通した改善点と思われるのが家計のお金を総合的にみていないという点です。『ウチでできる節約はこれしかない』と「思い込んでいる」ために資産形成の過程で遠回りしてしまっているのです。

たとえば、食費は一円でも安くするために安い店を駆け回っているのに、保険料は我が家にとって必要な固定費だから削れない、と思いこんでいるケース。子供が誕生した際に加入したご主人の死亡保障は、子供の成長と貯蓄額の増加などによって、現在必要な保障額を見直すことで保険料が安くなる可能性があります。保険=絶対必要だから削れないという強い思い込みから、効果的な方法を選ぶことができないのです。

他にも、独身なのに終身保険で高額な死亡保障を付けているために、毎月の家計は保険料の支払いが最優先され、なかなか貯金が増えないというケースもあります。経済的な支えが必要な守るべき家族がまだいないシングルの場合、万一の病気・ケガに備えるべく医療保険(保障)など必要な保障はしっかりと保険の力を借りて確保するべきですが、同時に、将来の運用資金の原資にもなりうる貯金も頑張りたいものです。

結局、多くのかたが自分の加入している保険を解約しないのは、その保険に満足しているからではなく、「手付かず」だからです。知らないために手付かずとなっている未知の領域があるとロスが出ている可能性が高くなります。家計の支出の無駄を削ろうと思った時、自分が対処しやすい範囲のみで実現しようと考えがちですが、視点を変えて我が家の資産を総合的に見ることで、より効果的に、しかも我慢するというストレスを避けながら無駄を減らすことができるケースもあるはずです。

広い意味でお金について「知っている」ことは家計のロスをなくすとともに、将来に対する漠然とした不安に立ち向かう勇気を与えてくれると思います。

“自分の人生”が視覚的に見えてくる

――
「家計のお金を総合的に見る視点」を身につけるのに何か良い方法はありますか?

確かに、お金まわりのことに限らず、自分自身を客観的にみる冷静さを持つことは難しいですよね。これもご相談を受けていて気がついたことなのですが、相談にいらっしゃるかたの家計には、いわゆる浪費をしているケースが少ないんです。皆さん何らかのこだわりを持ってお金を振り分けています。例えば、60〜65歳の無年金期間が心配だから確定利付きの個人年金に加入するというように。

ただ、これには2つ注意点があって、長期間にわたり固定金利が適用される確定利付きの個人年金という商品選択が、現在のような低金利局面のもとで妥当なのかという点と、自己資金の多くが老後になってはじめて使えるお金に集中していないかという点です。

人生のイベントには結婚・子供の誕生・住宅購入・独立開業・留学などさまざまなものがあると思います。もちろん、「いくつ」あるのか、「いつ」あるのかは人によってさまざまです。しかし、通常、これらのイベントのあとに老後はやってきます。老後を心配するあまり、本来、自由に使えるはずの自己資金にあえて縛りをつけてしまうのは、将来の選択肢を狭めることにならないのか。お金を振り分ける際には、このあたりをしっかり確認したいものです。

そこでオススメしたいのが、「人生通帳」の「ライフプランシミュレーター」と「お金マップ」の併用です。

まず「ライフプランシミュレーター」を活用することで人生の流れが見えてきます。自分がイメージするイベントの順序とともに、各イベントにかかる大まかな予算を把握しましょう。そして、「お金マップ」で現在の資産状況を確認します。2つのツールを使うことで、自分の場合、いつまでにいくら位の資金が必要なのかという現実が見えてきます。

つまり、運用に対して目的と期間が決まるわけです。そうなると運用における利回りの重要性に気がつきます。くどいようですが、日本の現状は歴史的な低金利にあるので、安全確実な金融商品だけで自分の理想とするライフプランを実現することは厳しいのが実情です。今のままでは目標金額に足りない、という現実に気がつけば、人はおのずと、スキルを磨きリスク商品を取り入れた運用を始めたり、話し合いをして奥様が仕事に復帰することで家計を助けるなど、我が家の対策を実践するのではないでしょうか。

「ライフプランシミュレーター」と「お金マップ」を積極的に活用して、お金の振り分け先が、近視眼的だったり、一極集中になっていないかをぜひチェックしてみて下さい。

投資信託や外貨預金などのリスク商品も視野に

――
預貯金などの安全な金融商品ばかりではなく、投資信託や外貨預金などのリスクをともなう金融商品も視野に入れた運用が必要なのでしょうか。

先ほどお話したように、家計によっては必要になってくると思います。リスク商品と安全商品にはタテとヨコの違いがあります。安全商品は貴重な時間を使って複数の商品を見比べても、はっきりいって大差はありません。比較的金利の高いネット銀行を活用したり、安全確実に確保しておきたい性質のまとまったお金があるのなら、ボーナス時期などに合わせて実施される期間限定のキャンペーンをチェックしておく程度で充分だと思います。つまり、安全商品はほとんどタテの幅がない“ヨコ”の商品なのです。

一方、株式や外貨建て商品などのリスク商品は、商品性によってその幅は異なるものの、総じて値動きを伴います。ご存知のように、リスク商品は上にも下にも大きく動く可能性のある“タテ”の商品というわけです。そもそも、リスクとは値動きの幅のことですからその名の通りなんですね。

立体的にイメージしていただいて、タテとヨコの違いがあるのですから、感覚的に捉えても、リスク商品と安全商品を逆の用途で使おうとするとめっぽう使いにくい商品であることがお分かりいただけると思います。
家計のお金を目的に応じてしっかりと色分けし、「このお金は将来のためのものだからタテにした方がいい」とか、「これは来年には買いたい住宅購入資金の頭金原資だからヨコにしておこう」など、はっきり区別することが大切です。

リスク商品とうまく付き合う秘訣

――
なるほど。ただ、お金の色分けをして、タテの投資に向けたい資金だとわかっても、実際に投資するとなると、不安を感じる人も多いと思います。リスク商品と上手に付き合っていく秘訣はありますか。

リスク商品には値動きがあるわけですから、投資した日からずっと右肩あがりということはまずありません。とかくひとは、うまくいくパターンだけを考えがちですが、リスク商品と長く付き合うコツは、せっかくの含み益が大きく目減りしたり、買値を下回るようなツライ局面に対してどのように対処するかにあります。

リスク商品に初めて挑戦する場合には、ぜひ「お金マップ」を使って、投資を検討している商品の値動きを事前に想定してみてください。「お金マップ」には米ドルや日経平均株価がどう変化すると、今回投資を検討している商品がどのような影響を受けると想定されるかが瞬時にわかります。いくつかのパターンを試してみて、特にうまくいかなかった場合の含み損に自分は耐えられるかどうかを自問自答してみてください。
リスク商品を使いこなすにはリスク許容度の範囲内で投資することが大切ですが、ただ言葉で言われても実感が沸かないと思います。わたしは、「お金マップ」で示されるうまくいかなかったパターンの自分自身の限界を、リスク許容度の目安として活用してもらいたいと考えています。

これまでお話してきたように、投資にあたっては、お金に対するスキルを磨いて、投資対象を吟味することがとても重要です。そのうえで、投資に向かうマインドとして自分のリスク許容度がしっかり把握できていれば、投資対象そのものになんら変化のない、外部要因による連鎖的な急落にジタバタする必要もなくなるはずです。

個人的には、投資はデビューする時の姿勢が一番肝心だと思っています。ブームにあおられてなんとなくはじめるのと、「人生通帳」のツールを有効に活用して、自分を知ったうえで根拠を持って投資するのとでは、たとえ同じ投資信託を1つ買うという投資行動でも、のちのち大きな違いがでてくるはずです。

ここからお金に向き合っていってほしい

――
今後、「人生通帳」にあるといい機能を教えてください。

誰がどういう使い方をしているかというモデルパターンがあるといいかもしれません。
旅行のパンフレットでも3時間しかない人にオススメのコース案内などがありますが、「人生通帳」にもそんな使い方のモデルケースがあると、よりスタートしやすいかもしれません。

また、こういった特徴があなたのニーズに合っていると思われるので「あなたにオススメの金融商品にはこのようなものがあります」というレコメンデーションもありかもしれません。そこからさらに、商品の詳しい中身にジャンプできるような形で。

あと欲をいえば、女性には結婚や出産・仕事復帰など生活スタイルが大きく変わる局面も想定されるので、ライフプランシミュレーターの女性版があるとありがたいですね。
その場合、画面のどこかにお料理レシピや手軽にできるエクササイズなど日々変わるものがあると、デイリーにアクセスしたくなる気がします。

とにかく、この「人生通帳」が、ひとりでも多くの人に、お金を日常のものとして捉えるきっかけになって欲しいですね。

インタビュー後記(from MONEYKit編集部より)

資産運用のイメージをわかりやすく語ってくれた野尻さん。「投資はデビューする時の姿勢が一番肝心」。資産運用の入門ツールにもなりうるという、「人生通帳」の新たな視点を見出した思いでした。
さて、人生通帳連続インタビューはまだまだ続きます。それでは第3弾インタビューもお楽しみに。

 

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